本日11時ころ、厚内駐在所より博物館へ、イルカのような動物が漂着しているとの連絡を受けました。
学芸員が団体対応中だったため、14時50分頃になって現地へ赴くと、すでに死亡しているネズミイルカを確認しました。
その場で産業課水産係と協議し、漁港や人家のすぐ近くのため、長く置いておくとヒグマを招く恐れが気になるので、すぐに埋め立てを行いたいとの意向があることをお聞きしました。ネズミイルカは厚内沿岸で比較的よく見る種であることから希少性は低いと判断し、博物館で記録をとった上での即日撤去にいったん同意しました。
その後、NPOストランディングネットワーク北海道に漂着情報について連絡したところ、ちょうど隣接する釧路市音別町の海岸で漂着個体の回収作業をしている最中の研究者がいることがわかりました。連絡を受け、皆さん、すぐに音別の現場から厚内へ駆け付けて下さいました。その場で全身をシートで何重にも包み、作業車へ積み込んで全身回収となりました。回収した死体は帯広畜産大学へ搬出されます。
今回の漂着個体はネズミイルカのメスで、妊娠中の個体である可能性があるとのことでした。全長が博物館計測によると176cmで、研究者の方々のお話では、ネズミイルカのメスのサイズとしては大きく、なかなか標本を得にくいサイズだそうです。このため、貴重なサンプルとなりました。
漂着海獣類については、周辺環境や地域の方々の意向もあり、全てを研究用に回収できるとは限りませんが、博物館としては科学研究を支援する立場から、可能な限りストランディングネットワークと連携して、標本採集に協力したいと考えております(博物館法第3条にもとづく学術研究の支援とその成果の地域への蓄積)。
引き続き、ご協力をお願いいたします。
この度ご協力いただいたNPOストランディングネットワーク北海道の皆様をはじめ、関係機関の皆様方に深く御礼申し上げます。
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