博物館講座「地域への愛着とはなにか?農村計画学から人口減少下の地域づくりを考える」を開催しました

2025年5月24日(土)、今春に東京農工大学大学院の博士課程を修了(博士〔農学〕の学位を取得)され、4月から十勝うらほろ樂舎へ着任されている新里早映さんを講師にお招きし、博物館講座「地域への愛着とはなにか?農村計画学から人口減少下の地域づくりを考える」を開催しました。

講座では、昨今の人口減少の実態について、浦幌の集落別人口の実態や予測も含めて、各種統計から分析された結果が紹介されました。そのうえで、農村計画学という学問分野への解説ののち、そもそも人々が「地域への愛着」を感じる内発的な要因はなんなのか?について、新里さんが大学院で研究されていた内容を叩き台に研究や分析の手法が紹介されました。

最後に、うらほろスタイル教育を体験された方を対象とした分析の結果が示され、浦幌における「地域への愛着」がどのように形成されているかの、その形成過程における「うらほろスタイル教育」の働きについての効果が報告されました。

会場からは、うらほろスタイル教育を実際に経験した若者の参加もあり、後半ではそうした若者から経験談についても発言がされました。また、新里さんは日本と英国との比較という観点でも研究をなされていることから、両国での差違に関する質問などもなされました。

なお、講座の冒頭では、新里さんが浦幌へ就労されるきっかけを作られた上田真弓教育長から講師の紹介がなされ、エピソードなどが紹介されました。

当日は、釧路市、標茶町、札幌市を含む42名の参加をいただきましたが、このほか、遠方なので参加できなくて残念だという声が博物館に何件も寄せられました。講座の概要については、今後なんらかの形で御報告させていただきたいと考えております(学術研究上の未発表データを含むため、講座のスライドなどをそのまま公開することはできませんので、ご了承ください)。

なお、当講座では当館としては初めて、講座の感想をGoogleフォームを使って収集しました。翌日25日早朝現在で集まっている声についてご紹介いたします。

アンケートから

1.町民に向けて、うらほろスタイルを学術的に分析した結果を見せる機会はなかなかないので、うらほろスタイルがどういうものかを認識する機会としても良かったと思います。フォーマル、インフォーマルなどのバランスの良い教育など、自身にも腹落ちする内容でありました。内発的発展は若いうちに起因するものが大きいのか?について知りたいと思うと同時に、最後の大人の学びについては非常に共感しました。町民や役場職員なかに内発的に問いをたてる人間がどのくらいいるかによって、町の方向性が変わると思いながらも、その変化を起こす難しさを感じています。序盤の人口減少は問題か?ということもよく私も考えますが、今日の講演を聞いて、答えのない世界を生きる中で問いを立てることができるひとが減っていくことにより危機感と寂しさ?を感じました。 今まで、町民の動きを伴走することや、考えや想いを分析する視点や経験を持つ人は少なかったように思いますので、新里さんに浦幌に関わっていただけたこと改めて大きく感じました。今後ともよろしくお願いします。


2.非常に勉強になりました。地域への愛着についてフレームを用いて分析していたのでとてもわかりやすかったです。


3.これまで見聞きしたうらほろスタイルでぼんやりと感じていた凄さや成果のようなものが、根拠づけられていて「だからこうだったんだ」と納得することができました。まだまだ色々な要因やお考えがあるかとおもいますので、また機会があればお話聞きたいと思いました。ありがとうございました。

講師の新里早映氏(左講師席)を紹介する上田真弓教育長

会場からの発言

会場のようす

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

ページ上部へ戻る